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株式会社SQUEEZE IPO分析|「ホテルを持たないホテル会社」が示す、次世代プラットフォームビジネスの設計図

自社では土地も建物も持たず、SaaS・BPaaS・マネジメントコントラクトの三層で稼ぐ「アセットライト」ホテル運営会社。ROE52.7%、リカーリング収益90%超という驚異的な数字を、カンボジア拠点という競争優位の構造とともに解剖する。

はじめに——この会社を知っているか

2026年3月、一社のスタートアップが東京証券取引所に上場申請書類を提出した。

株式会社SQUEEZE。

おそらく、この名前を知っている人は少ない。「Minn」「Theatel」というホテルブランドを見たことがある人はいるかもしれない。しかし、この会社が何者で、どんな構造で稼いでいるかを正確に説明できる人は、ほとんどいないはずだ。

これは、典型的な「見た目は地味、中身は革命的」な会社だ。

今日は、SQUEEZEの有価証券報告書を解剖する。数字を読むだけでなく、その数字の裏にある「ビジネスモデルの設計思想」まで届ける。

第一章——SQUEEZEとは何者か

一行で言うと、「ホテルを持たずにホテルを運営する会社」だ。もう少し正確に言う。SQUEEZEは、不動産オーナーやホテル事業者に対して、「テクノロジー+オペレーション」をセットで提供する会社だ。自分でホテルを建てない。土地も買わない。しかし、ホテルの運営を丸ごと引き受ける。

社名の「SQUEEZE」には「価値を詰め込む」という意味がある。「薄く、弱く、分断されていた状態から、価値が凝縮された状態へ」という哲学がデザインに込められている。

創業者の舘林真一は、シンガポール在住中に日本の民泊運営支援を手がけた。「運営方法で不動産の価値が大きく変わる」という経験が、この会社の原点だ。2014年の創業から12年。コロナ禍を超え、インバウンド急回復の波に乗り、今まさに上場のタイミングを迎えた。

第二章——数字が語る「本物の成長」

まず、財務の数字を整理する。売上高の推移を見ると、構造的な成長の強さが分かる。

2021年12月期(第8期)は4億3700万円。2022年12月期は8億0900万円。2023年12月期は22億4500万円。2024年12月期は30億6700万円。2025年12月期は53億6700万円。4年間で売上が約12倍だ。

しかし単純な売上成長より重要なのは、利益の変化だ。2021年・2022年は赤字だった。2023年に初めて黒字転換。経常利益1億6000万円。2024年は経常利益2億1000万円。2025年は経常利益5億2600万円——前年比147%増だ。

ROE(自己資本利益率)を見ると、さらに驚く。2025年12月期のROEは52.7%だ。一般的に、ROE10%以上が「優良企業」の目安とされる。日本の上場企業の平均は8〜10%程度だ。SQUEEZEは、その5倍以上の収益効率を叩き出している。

なぜこれほど高いROEが実現できるのか。ここにビジネスモデルの秘密がある。

第三章——「資産を持たない」という設計の天才性

SQUEEZEの最大の特徴は「アセットライト」経営だ。ホテル業の通常の経営モデルはこうだ。土地を買う。建物を建てる。設備を整える。膨大な固定資産と借入金がバランスシートに積み上がる。景気が悪化すると、この固定費の重さが経営を圧迫する。

SQUEEZEは違う。ホテルを所有しない。不動産リスクをバランスシートに乗せない。その代わり、「テクノロジーとオペレーションのノウハウ」という無形の資産でビジネスを作っている。

具体的には三つの収益モデルが存在する。

一つ目はSaaS型だ。クラウド宿泊運営システム「suitebook」を月額課金で提供する。施設数が増えるたびに、自動的に売上が積み上がる。

二つ目はBPaaS型だ。システムに加えて、クラウドレセプション(遠隔フロント対応)やレベニューマネジメント(価格最適化)などのオペレーションをセットで提供する。

三つ目はマネジメント・コントラクト型だ。ホテルの運営を全面的に受託し、売上や利益に連動した報酬を得る。

この三層構造で、リカーリング収益(継続課金)が売上の90%超を占める。一度契約したら、毎月・毎年、自動的に売上が入ってくる構造だ。

ここまでで「SQUEEZEがどういう会社か」の骨格は見えたはずだ。しかしここからが本番だ。

「なぜこのビジネスモデルが競合に真似されにくいのか」「GOPマージン70%超という驚異的な数字の構造」「カンボジア拠点という、見えているようで見えていない競争優位の本質」「投資家として・起業家としてこの会社をどう読み解くか」

これらを、有価証券報告書の数字を根拠に、構造ごと解剖していく。読む価値がある内容だと感じているなら、続きへ。

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