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【スタートアップの罠】海外機関投資家が「買える」会社と「買えない」会社の違い、わかりますか?

上場して業績も悪くないのに海外機関投資家から連絡が来ないのはなぜか。ポジションサイズと流動性の制約から「買える条件」を逆算する。

この記事の3つの学び

  • 機関投資家は1銘柄あたり最低5億〜10億円のポジションを、1日出来高の20〜30%以内で取りたいという内部制約を持つため、日次出来高が乏しい銘柄には物理的に入れない
  • 海外機関投資家が本格参加するセカンダリーオファリングは50億〜100億円規模が最低ラインであり、逆算すると時価総額500億〜1000億円が「土俵に乗る」条件になる
  • 海外投資家は「流動性があるところ」に来るのであって、国内個人投資家→国内中小型機関→アジア系ヘッジファンド→ロングオンリーという順序を飛ばして海外にアプローチしても機能しない

海外機関投資家が「買える」会社と「買えない」会社の違い、わかりますか?

上場している。業績も悪くない。IR資料も英語で作った。 なのに、香港やシンガポールの機関投資家からは一向に連絡がこない。

「海外投資家にアプローチしたい」と言う経営者や財務担当者に、質問をする。 「あなたの会社のセカンダリーでのオファリングサイズ、いくらになりますか?」

大抵、沈黙が返ってくる。 この質問に答えられない限り、海外機関投資家の扉は永遠に開かない。 今日はそのことを、構造から話したいと思う。

なぜ海外投資家は「見ているのに動かない」のか

誤解されやすいが、海外機関投資家は日本株を嫌いなわけではない。 実際、香港・シンガポールをベースにしたアジア系ファンドの多くは、日本のミッドキャップに高い関心を持っている。 コーポレートガバナンス改革、PBR1倍割れ是正の流れ、円安メリット。材料はそろっている。

では、なぜ動かないのか。 答えは単純だ。 「買えない」からだ。

買いたくないのではなく、物理的に、構造的に、買えないのだ。

機関投資家の「買える」条件とは何か

ここで基本に立ち返る。 海外の機関投資家、特にロングオンリーのファンドやヘッジファンドが株式を取得する際、彼らには内部的な制約がある。

ポジションサイズの下限問題だ。

たとえば運用資産が500億円のファンドがあるとする。 このファンドが1銘柄に投資する際、最低でもポートフォリオの1〜2%程度のポジションを持たないと、パフォーマンスへの影響が出ない。 つまり最低5億〜10億円は入れる必要がある。 しかしここに落とし穴がある。

流動性の問題だ。

機関投資家は「入るとき」だけでなく「出るとき」も考えている。 一般に、1日の平均出来高の20〜30%以上のポジションは取らない。 なぜなら自分が売るときに市場を動かしてしまうからだ。 逆算してみよう。 5億円のポジションを取りたい。 1日出来高の25%以内に収めたい。 とすると、1日の出来高が最低20億円ないと入れない計算になる。 日本の中小型株でこれをクリアしている会社がどれほどあるか。

セカンダリーの「最低ライン」が50億〜100億円である理由

ここで本題に入る。 海外機関投資家が本格的に関与してくるのは、セカンダリー市場でのオファリングサイズが最低でも50億〜100億円規模になる案件だ。

なぜこの数字か。 一つのオファリングに複数の機関投資家が参加する前提で考える。 たとえば10社の投資家が参加するとすると、一社あたり5億〜10億円のアロケーションになる。これが各社の「投資効率が出る最低ライン」だ。

さらに言えば、50億〜100億のオファリングが成立するためには、そもそもの時価総額が一定規模ないと話にならない。 通常、オファリングサイズは発行済み株式の5〜15%程度に設計される。 逆算するとこうなる。

オファリング100億円、希薄化率10%とすると→時価総額1000億円以上が必要。

オファリング50億円、希薄化率10%でも→時価総額500億円以上。

時価総額が200億、300億の会社がどれだけ優れたビジネスをしていても、海外機関投資家のセカンダリー参加対象には入らない。構造的に「土俵に乗れていない」のだ。

これは差別でも偏見でもない。純粋に、ファンドの運用ロジックから導き出された数字だ。

「土俵に乗る」ために必要な逆算思考

ここで重要な視点の転換がある。 多くの経営者は「海外投資家にアクセスしたい」と言いながら、実は順番が逆だ。

海外投資家にアクセスするのではなく、海外投資家が「アクセスしてくる」会社になることが先だ。

そのためには、時価総額と流動性を意図的に設計する必要がある。 時価総額500億〜1000億を目指すために、今の業績から逆算してどんな成長ストーリーが必要か。 売上・利益の規模感だけでなく、PERやPSRで市場がどう評価するセクターなのかも含めて設計する。 流動性を高めるためには、株主構成の分散と、個人投資家・国内機関を先に巻き込む地盤固めが有効だ。 海外投資家は「流動性があるところ」に来る。 流動性は呼び込むものではなく、積み上げるものだ。

ここまで読んで、こう思った人がいるかもしれない。 「わかった。では具体的に、どう設計すれば良いのか?」 実はここからが本題だ。 時価総額の逆算だけなら誰でも計算できる。 難しいのは「どのタイミングで」「どのルートで」「どんな投資家層を」積み上げていくか、その順序と優先度の設計だ。

特に以下の問いに答えられるかどうかが、実際に海外資金を呼び込めるかの分岐点になる。

国内の流動性を高めるフェーズと、海外IRを本格化させるフェーズ、どちらを先行させるべきか。 ケースバイケースではなく、会社のステージによって原則がある。香港系ファンドとシンガポール系ファンドでは、好むセクターや投資スタイルが異なる。アプローチ先を間違えると、IRコストだけ消費して終わる。

正しい「最初の一社」の選び方とは何か。

セカンダリーに先立って信頼性を積む「プレIRフェーズ」の設計。これを怠った会社の案件が、オファリング当日に想定を大幅に下回る理由。

これらすべてに対して、以下の有料パートで書いている。 読んだ後、あなたの会社の「海外資金調達ロードマップ」の解像度が変わることを保証する。 ここから先は、他では読めない話だ。

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